田七人参は「門外不出の貴重薬」「兵隊さんの傷薬」
「田七人参」は朝鮮人参と同じウコギ科ではありますが、まったく別の植物で効能も違います。地上にあらわれている部分(花・果実・葉)は朝鮮人参にそっくりですが、生薬として用いる根は朝鮮人参よりずっとずんぐりむっくりした形で、こぶしのようにゴツゴツしており、乾燥させるとカチンカチンに硬くなり色も黒っぽいです。
田七人参は、栽培に手間がかかることでも有名です。栽培に適しているのはなんと海抜1200m~1800mの山間の傾斜地という厳しい場所。それゆえ雲南省~広西省の限られた地域でしか採れない特産品です。収穫まで約3~7年かかるといわれ、また、田七人参を育てた畑は栄養を吸い取られてしまい、しばらく作物を作ることができません。
その素晴らしい効能と貴重さのために古くから「金不換(きんふかん)=金にも換えがたい貴重なもの」という別名で呼ばれ、門外不出の不老長寿の生薬として、古代中国では王族貴族の間で珍重されてきました。
また、優れた止血作用や傷口をくっつける作用をもつことから、戦場で兵隊さんが傷口や打ち身の手当てのために持たされた薬としても有名です。私の経験談ですが、包丁でできてしまった指の切り傷に田七人参の粉末をこんもり振りかけて絆創膏でとめておくと、あっという間に止血されて、傷のくっつき具合や治りがとても早く感じられたことがありました。